文政4年1月3日。勝川の船場(船着き場)で前日からブラブラしている者がいた。船頭と仲良くなって言うには、自分は京の者だと。去年の冬に行方をくらました者がおり、おそらくここを通るの待っているなどとよもやま話をしながらここに滞在していた。3日の昼頃、伊勢参り者が2人やって来る。どうやら信州の者であった。船を用意してもらおうとしたところ、かの者が御諚意(命令)と言って2人を召し捕った。2人はうろたえて言い訳をするも聞き入れなかった。程なくして信州の者9人がやって来て2人に尋ねると、2人は事細かく答えた。9人は哀れに思い、旅は道連れと言うの共に付き添って行こうと言った。かの者は合わせて11人を連れて熱…