まだその本を読んだときはブラームスを知らなかった。ヒゲの肖像画しか知らぬが、そこからは気難しく重たそうな印象を得た。 ではその本の内容はどうだったか?自分にはよくわからない大人の、そして外国の話。しかしなんだか風の香りを感じたかもしれない。 ブラームスはお好き?そう聞かれたらどう答える?まあ今ならばぐっと身を乗り出して語り始める。彼の交響曲の、協奏曲の、合唱曲の素晴らしさを。 しかしあの頃僕は何も知らなかった。彼の音楽も、大人の恋も。 もう一冊手に取った。少しだけ唸ったかもしれない。 ブラームスはお好き?悲しみよ、こんにちは そう、フランソワーズ・サガン。 あんなに悲しく透明で切ない文章。彼女…