桜で一句詠みたいものだけどどうにも思いつかない。 表現するって何とも難しいものだな。 さまざまの 事思ひ出す さくらかな 松尾芭蕉 限られた音数で場面を、心情を描くのが俳句の楽しみ。 言いたいことのあれこれを削って省いて捨てる。そうして研いで磨いて光らせた言葉だからこそ、時代を隔てても読む人の心に届くのだろう。 散る桜 残る桜も 散る桜 良寛 読んだ後も心に引っかかりを残す、わかったようでわからないもの。余韻と呼ぶような爽やかなものではなく、いつまでも燻って煙を上げるようなモヤモヤとしたもの。案外、そういうものをいつまでも覚えているものだ。 良寛の辞世の句と言われているこの句も、わかったようで…