1925年、千葉県生まれ。歴史家、思想史家。 東京大学文学部史学科卒業。東京経済大学教授、米国・プリンストン大学客員教授、国立歴史民俗博物館客員教授などを歴任し、現在、東京経済大学名誉教授。専攻は日本近代史、思想史。 1960、61年に民衆思想史の論文で「民衆史」という新しい分野を拓き、1975年には『ある昭和史―自分史の試み』(中央公論社)で「自分史」を提唱。また、水俣病事件や「日本はこれでいいのか市民連合」など市民運動にもかかわる一方、三〇年にわたりシルクロードやチベットを踏査。
この国の右派は、彼らの正体を容赦なく暴き立てる『はだしのゲン』を、何としても教育現場から排除しようと常に画策している。 今もまんまじゃん、そりゃ日本会議としたら見せたくないわな。#はだしのゲンを無くすことに抗議します pic.twitter.com/UUTW829NmI — 桃太郎+ (@momotro018) February 18, 2023 『はだしのゲン』が何がスゴいのか。ソレは戦時中、国家に尻尾を振っていた軍国主義者・愛国主義者たちが戦争に負けた途端に過去の行いや責任を放棄して、アメリカの犬に成り下がったことをマンガを通して痛烈に批判していたことだ。#はだしのゲンを無くすことに抗議し…
内橋克人さんの訃報の数日後、色川大吉さんが亡くなったと知った。 日本のリベラルを支えてきた巨人が相次いで鬼籍に入られた。 (wikipediaより) 色川さんは「五日市憲法草案」の発見で知られる。 「日本帝国憲法」(五日市憲法草案) 1968年、今の東京・あきる野市の農家の土蔵で見つかった1881年起草の憲法草案で、全204条のうち150条で基本的人権について触れている。この草案は地元の農民の学習発表をまとめたもので、当時の庶民の権利意識の高まりを示すものとされている。 2012年、天皇皇后(当時)があきる野市の資料館で「五日市憲法草案」を見学 これを読んで美智子皇后(当時)が感動したという逸…
色川大吉 さん 歴史学者。 1925年(大正14年)7月23日、生まれ。2021年(令和3年)9月7日、死去。 訃報 色川大吉さんが死去 歴史学者、「自分史」開拓: 日本経済新聞 歴史学者の色川大吉さん死去 96歳 「ある昭和史」で自分史ブーム | 毎日新聞 色川大吉さん死去、96歳 歴史学者「ある昭和史」:時事ドットコム 歴史家・社会運動家の色川大吉さん死去 民衆史の研究をリード:朝日新聞デジタル 色川大吉さん死去 民衆史、「五日市憲法草案」発見:東京新聞 TOKYO Web
朝刊を開くと訃報記事が目に飛び込んできた。 その下段には名優ジャン・ポール・ベルモンド死去の報も。 歴史家・社会運動家の色川大吉さん死去 民衆史の研究をリード:朝日新聞デジタル 学生時代、歴史や政治を勉強していた自分は色川氏の著作に触れ、多くを学んだ。無味乾燥な事実の羅列的な通史や子細な研究論文とは異なる歴史叙述によって、歴史、特に近現代史への興味が膨らんだ。 10代の最期の頃に氏の歴史エッセイ『歴史の方法』に触れ、そこから『近代国家の出発』、『明治精神史』と読みついでいった。漱石や藤村と異なる北村透谷など明治草創期に文学に興味を向けたのも多分『明治精神史』の影響だ。『歴史の方法』はE・H.カ…
普通の風邪とインフルエンザの違いがよくわからない。風邪は「風邪ウイルス」によって引き起こされるのかな。風邪の重症なのがインフルエンザだと勘ちがいしていた。インターネットでインフルエンザを調べてみた。こう書いてあった。 「インフルエンザとは、38度以上の発熱や寒気、全身の痛みやだるさなどの症状が現れる病気です。」 幸いなことに、ここ20年くらい、38度以上の熱がでるような風もインフルエンザにも罹っていない。最近は毎年インフルエンザワクチンをうっているからだろうか。2004年にC型肝炎ウイルを排除するためにペグ・インターフェロンの注射とリバビリン服薬を行った時に副反応で38度くらいの熱に苦しんだこ…
1、はじめに ゆゆゆにおける「戦死」と郡千景 ・「ポストまどマギ」作品における「死亡」モチーフとゆゆゆの「魅力」 ・ゆゆゆにおける「死者」/「死亡」の存在 ・「例外的な死者」としての郡千景 ・郡千景「戦死」の社会的要因 ・「家庭崩壊」に関する補足 ・本コラムの立場と内容 2、高知県某村落という「ムラ社会」 ―神世紀移行期地域社会の構造分析― ・小学生時代の「いじめ」=被暴力体験 ・勇者時代に再発した被暴力体験 ・被暴力体験の社会的発生要因 ・高知県某村落の「ムラ社会」的性格 ・「ムラ社会」の定義 ・「ムラ社会」概念の拡張的性格 3、神世紀移行期四国社会という「ムラ社会」 ―「ムラ社会」構造の同…
ずうっと友達の推薦に上野千鶴子が出てくる。 微妙やな。 余り好きでも嫌いでもないから、彼女を認知していてもさほどのことを識るわけではない。 もう早いもので10年も経つか、パク・ユハの「帝国の慰安婦」が出た後、パクを招いて大きな講演会が催された。 司会は上野千鶴子。 韓国の慰安婦問題団体挺隊協などに連動していた日本の左派が、パクの提起した問題に戸惑い、右往左往していた。 私はすでに1970頃から総連科学者協会や韓国左派の運動をナショナリズムの変形として批判していた。パクのそれらを日本の未解決のまま歴史から抹消する態度ともども串刺しにした批評性に感動した。とうとう出てきたな、と成熟を喜んだ。 従っ…
色川大吉『日本人の再発見―民衆史と民俗学の接点から』を読んだ。 日本人の再発見―民衆史と民俗学の接点から (小学館ライブラリー) 作者:色川 大吉 メディア: 新書 内容は、紹介文の通り、 近代史家の著者が“自分史”運動を実践しながら、民衆の生活の場に視点をすえて展開する日本文化論、草の根からの日本人論。著者は民衆の一人として、歴史を作り支える役割を語りかける。 というもの。 まさに色川史学といった感じの内容である。 以下、特に面白かったところだけ。*1 水俣と日本窒素 日本窒素の創業者野口遵が大口の近くに曽木発電所を開業して、安い電力エネルギーを金山に供給するようになった (194頁) 政府…
永井均が、あるトランス差別に擁護ともとれる発言をして、ネットで話題になっている。発端は、永井の元教え子の谷口一平が、自分の投稿論文につけられた査読コメントをSNSで公開したことだ。谷口の論文はトランスジェンダーをテーマにしているが、査読の結果、不採用となった。しかしながら、谷口は査読者が、哲学研究者ではなくジェンダー論者であったことを批判し、不当な査読であったと訴えている。 togetter.com 谷口の主張の内容には踏み込まないが、これらの発言を一般論として「査読への不満」として理解する。トランスジェンダーをテーマにした論文であれば、どんなジャーナルであれ、ジェンダー論者が査読を担当するこ…
八ヶ岳南麓から 作者:上野 千鶴子 山と溪谷社 Amazon 『八ヶ岳南麓から』上野千鶴子 著山と溪谷社初版年月日 2023年11月21日 上野千鶴子さんの、20年以上にわたる東京と八ヶ岳の二拠点生活を綴ったエッセイ。上野さんが私生活を書かれた本は、おそらく本書が初めてとのこと。 もうタイトルと表紙だけで、ちょっとうらやましすぎて鼻血が出そうなんだけれども、本が良すぎて、思わず丸善ジュンク堂で開催されていた刊行記念の著者トークイベントも視聴してしまった(美しいお庭の写真を見ることができて嬉しかった)。 四季折々の自然の美しさは言わずもがな、山暮らしの実際問題「これってどうするの?」へのtips…
今日も暑かった。今週後半から少し涼しくなるという。「暑さ寒さも彼岸まで」は本当だな。 図解塾の準備:「名神高速道路」「大本教」「高崎山」「出雲大社」「日本探検始末記」の再読。 ウオーキング:朝の日陰の道のウオーキング。昼のカフェまでの歩き。夕方の神社までの往復。この3回で1万2千歩になってしまった。 昭和史:色川大吉の肉声を聞く。テーマは「民衆史と自分史」だった。読んだ色川の本をあげてみる。 2011-11-23 たゆまざる人・平野友輔--「明治人その青春群像」(色川大吉)。たゆまざる人・平野友輔--「明治人その青春群像」(色川大吉) - 久恒啓一のブログ「今日も生涯の一日なり」 (haten…
台風13号の接近ということで、妻の整体(オステオパシー)に付き添うことにして、多摩動物公園駅からモノレールで立川へ。 エクシオール・カフェ:原稿のチェック。司法書士と面談。NPOの手続きが終了。手数料の振り込みが必要。 高島屋9階の「東方紅」で食事。その後、カフェ・ド・クリエでコーヒー。 たまたま空きがあった15時から私もオステで体を整える。 ある出版社から企画の相談のメール。 『野田一夫の大いなる晩年』が7冊届く。ご遺族に送付する予定。 電話:仙波さんに立教の野田ゼミOB会へのPRを依頼。秘書役だった藤村さんとも情報交換。 夕刻:色川大吉『明治人 その青春群像』(筑摩書房)を浴読。 ある一人…
第1巻日本の近代化と民衆思想 ニホン ノ キンダイカ ト ミンシュウ シソウ 2-63 民衆道徳とイデオロギー編成 ミンシュウ ドウトク ト イデオロギー ヘンセイ 64-100 近代社会への志向とその特質 キンダイ シャカイ エノ シコウ ト ソノ トクシツ 102-170 『日本の近代化と民衆思想』あとがき ニホン ノ キンダイカ ト ミンシュウ シソウ アトガキ 172-180 「民衆思想史」の立場 ミンシュウ シソウシ ノ タチバ 181-203 生活思想における「自然」と「自由」 セイカツ シソウ ニ オケル シゼン ト ジユウ 204-251 二宮尊徳思想研究の課題 ニノミヤ ソン…
❝USA第51州の実態(023)昭和20年(1945年)【以下、順不同に悪魔の所業を書き出しておく】の続き❞ ❝【日本という怪しいシステムに関する一見解】❞(初稿1999.10.29)❝平成15年5月16日改定 岡山県井原医師会鳥越恵治郎(H26年4月17日一部改定)http://www.ibaraisikai.or.jp/information/iitaihoudai/houdai37.html 第37話「日本という怪しいシステムに関する一見解」 この記事は一冊の本になるような長文の論文です。学校教育では日本の近現代史は尻切れトンボ傾向のようですが、今日に繋がる20世紀の日本の赤裸々な史実を…
1、「御記」という言葉 ―日本列島史の中の「御記」― ・「御記」とは何か? ・日本列島史の中の御記 ・御記呼称の問題点 ・御記と天皇制の関係性と御記論の意義 ・御記言説の政治性 2、補論 中世日本社会と御記 ―古代的体制の中世的再編とイエ・日記— ・中世日本社会における御記 ・古代的体制の中世的再編とイエ・日記 ・『看聞日記』をめぐる御記とイエ 3、ゆゆゆにおける「勇者御記」 ・「勇者御記」とは何か? ・勇者御記にまつわる問題点 4、勇者御記という「検閲」 ―「閉ざされた言語空間」の「配給」― ・検閲される勇者御記 ・神世紀という虚構のわな ・「閉ざされた言語空間」の「配給」 5、なぜ大赦は勇…
最近は少し変わったかもしれませんが、司馬遼太郎の小説というものが国民的な人気を集めていたことがありました。 それも、財界人や政治家など日本のリーダー的存在の人々の中に愛読書として司馬の作品を挙げるという人が多かったようです。 佐高さんは評論家ですが、政財界の腐敗堕落などに厳しい眼を向けて批判を続けてきました。 そこから見ると、ちょうどその傾向のある政財界人たちが司馬遼太郎の作品を喜ぶということが構造的に必然かのように見えてきたようです。 それに対し、藤沢周平は司馬より少し年下の歴史小説家ですが、その作品はあくまでも一般人、社会の下で精一杯生きているといった人々を描写しています。 その作風を好む…
カワラナデシコ 私には風呂で本を読む「一浴一冊」の習慣がある。 最近、読んだ、聞いた本をあげてみる。 目読:津本陽『津本陽 こうして生きて、こう死にたい』。色川大吉『ある昭和史ー自分史の試み』。『川喜多かしこ映画ひとすじに』。萩原英雄『美の遍路』。大野裕之『チャプリン 作品と生涯』。外山滋比古『知的生活習慣』。『森鴎外』の短編の「安井夫人」「最後の一句」と安野光雅「轍と蜃気楼」。中西進『辞世のことば』。広中平祐『学問の発見』。林周二「研究者という職業」。犬丸一郎『帝国ホテルの流儀』、 耳読:オーディブルで耳読。大倉喜八郎『致富の鍵』。鮫島浩『朝日新聞政治部』、、、、、 電読:kindleオアシ…
情けない。 なんという情弱だったんだろう。 色川大吉氏と色川武大氏とが、ごちゃ混ぜにして認識していた。 全くの別人だと、上野千鶴子氏のことを調べていて、分かった。 なんという情弱。 ああ、情けない。
さて日本の歴史を勉強しよう。テキストに選んだのは、中央公論社の「日本の歴史」シリーズ。1960年代に当時の碩学や若手を動員して作られた。歴史学は戦前に政府や国家などの介入を受けて、学問として展開できなかった。その壁が取り払われて、資料や事物にあたって確からしいことを積み上げていこうという方法に変わった。そういう新しいやり方で行こうとする学徒たちの清新で誠実な息吹をどの巻でもかんじることができる。高校教科書ではものたりないときに、まずあたるべき通史であると思う。一巻あたり500ページ、全26巻を読み通すことはなかなか困難ではあるが、挑戦する甲斐はあるものだ。 とはいえ、すでに書かれて50年。あら…