1925年、千葉県生まれ。歴史家、思想史家。 東京大学文学部史学科卒業。東京経済大学教授、米国・プリンストン大学客員教授、国立歴史民俗博物館客員教授などを歴任し、現在、東京経済大学名誉教授。専攻は日本近代史、思想史。 1960、61年に民衆思想史の論文で「民衆史」という新しい分野を拓き、1975年には『ある昭和史―自分史の試み』(中央公論社)で「自分史」を提唱。また、水俣病事件や「日本はこれでいいのか市民連合」など市民運動にもかかわる一方、三〇年にわたりシルクロードやチベットを踏査。
「ほんとうに橋川が色川より上だと、思っているのかい?」 「問題にならんと、思うね」 「そいつあ『明治精神史』が読めてねえんじゃないかなあ」 高田馬場駅からほど近くの、立飲み酒場だった。給湯器のような酒の自販機があちこちにあって、備えつけのガラスコップを置いて百円硬貨を投入すると、細い蛇口からトクトクと酒が注がれた。床に落ちても割れる心配のない、厚手の、重みあるコップだった。帳場近くに婆さんが腰掛けていて、おでんか冷奴かバタピーの小皿の注文に応じていた。立ったまま肘が突けるような丈高い小テーブルが、店内を不規則に埋めている。 意気軒高な酔漢たちのほとんどは、背広にワイシャツネクタイ姿で、判で捺し…
この国の右派は、彼らの正体を容赦なく暴き立てる『はだしのゲン』を、何としても教育現場から排除しようと常に画策している。 今もまんまじゃん、そりゃ日本会議としたら見せたくないわな。#はだしのゲンを無くすことに抗議します pic.twitter.com/UUTW829NmI — 桃太郎+ (@momotro018) February 18, 2023 『はだしのゲン』が何がスゴいのか。ソレは戦時中、国家に尻尾を振っていた軍国主義者・愛国主義者たちが戦争に負けた途端に過去の行いや責任を放棄して、アメリカの犬に成り下がったことをマンガを通して痛烈に批判していたことだ。#はだしのゲンを無くすことに抗議し…
内橋克人さんの訃報の数日後、色川大吉さんが亡くなったと知った。 日本のリベラルを支えてきた巨人が相次いで鬼籍に入られた。 (wikipediaより) 色川さんは「五日市憲法草案」の発見で知られる。 「日本帝国憲法」(五日市憲法草案) 1968年、今の東京・あきる野市の農家の土蔵で見つかった1881年起草の憲法草案で、全204条のうち150条で基本的人権について触れている。この草案は地元の農民の学習発表をまとめたもので、当時の庶民の権利意識の高まりを示すものとされている。 2012年、天皇皇后(当時)があきる野市の資料館で「五日市憲法草案」を見学 これを読んで美智子皇后(当時)が感動したという逸…
色川大吉 さん 歴史学者。 1925年(大正14年)7月23日、生まれ。2021年(令和3年)9月7日、死去。 訃報 色川大吉さんが死去 歴史学者、「自分史」開拓: 日本経済新聞 歴史学者の色川大吉さん死去 96歳 「ある昭和史」で自分史ブーム | 毎日新聞 色川大吉さん死去、96歳 歴史学者「ある昭和史」:時事ドットコム 歴史家・社会運動家の色川大吉さん死去 民衆史の研究をリード:朝日新聞デジタル 色川大吉さん死去 民衆史、「五日市憲法草案」発見:東京新聞 TOKYO Web
朝刊を開くと訃報記事が目に飛び込んできた。 その下段には名優ジャン・ポール・ベルモンド死去の報も。 歴史家・社会運動家の色川大吉さん死去 民衆史の研究をリード:朝日新聞デジタル 学生時代、歴史や政治を勉強していた自分は色川氏の著作に触れ、多くを学んだ。無味乾燥な事実の羅列的な通史や子細な研究論文とは異なる歴史叙述によって、歴史、特に近現代史への興味が膨らんだ。 10代の最期の頃に氏の歴史エッセイ『歴史の方法』に触れ、そこから『近代国家の出発』、『明治精神史』と読みついでいった。漱石や藤村と異なる北村透谷など明治草創期に文学に興味を向けたのも多分『明治精神史』の影響だ。『歴史の方法』はE・H.カ…
『趣味誌』と『地方誌』の構造 『地方誌』の起源を探る ◆雑誌が日本各地で買えるようになった訳 ◆『地方誌』が生まれる様々な前提 ◆仮説、『雑誌ごっこ』が『地方誌』を生んだ? 【『地方誌』の先駆け】 なぜ『地方誌』『趣味誌』『文芸誌』は仲間なのか ◆鷲見東一が読んでいた地方誌、蒐集趣味誌たち ◆趣味誌の入札欄に見る趣味誌と地方誌 ◆なぜ「園芸雑誌」が「地方誌」の仲間になるの? 『趣味誌』と『地方誌』の構造 『趣味誌』の歴史的な展開を語る前に,予備知識が必要だ. 『趣味誌』の定義は非常に困難である。仮に簡易に述べれば、出版史における媒体の領域の一つであり、商業誌(定価が付され、取次店や売捌所を流通…
昔、リベラルっぽい学生の間で、色川大吉は「読むべき本」とされていたように思う。逆に高坂正堯は「読まなくていい本」だったような。今思えば、とても未熟な感性・知力だったとは思うが。 色川は日本近代史の研究者。学徒出陣をした戦中派で、元共産党員。国分寺にある東京経済大学教授を長く務めた、いわゆる「進歩的知識人」。インテリながらフィールドワークに優れ、五日市で憲法草案を掘り起こしたり、「自分史」という言葉に象徴されるように、民衆の視座から近代を見て、現代日本を検証しようとした。という程度のことはだいたい知っていた。同氏の「明治の精神 - 底辺の視座から」(筑摩書房)はまだ本棚に飾ってある。 しかし、迂…
金曜の雨の午後、何処かへ行きたいのにどこへも行く当てがなく部屋で無聊をかこつ。こういう時は寝るに如くはない。寝て起きた時に何らかの解決策が浮かぶことがよくある。何処かへ行きたいの欲求は、寝ていて解答を探していた。部屋の書棚でその「本」を見つけた。「私のシルクロード」という旅行記で、画家の平山郁夫や作家の松本清張、色川大吉や、写真家の並河萬里らが書いていた。長安、敦煌、アフガニスタンなどの言葉のイメージが冒険と探究心を刺激する。どうしてだろう? 行ったこともないのに懐かしい感じがするのは、日本人の魂の源流があるからだろうか。平山郁夫のシルクロードを描いた絵は、数年前佐川美術館で観た。かつて玄奘法…
八ヶ岳南麓から 作者:上野 千鶴子 山と渓谷社 Amazon 上野千鶴子さんが、さまざまな媒体で発表してきた、八ヶ岳山麓での森の生活、移住者コミュニティ、おひとりさま、ゴミや住民税の問題、オンライン、車などの文章が山と渓谷社から出版され、思わず、Amazonをポチっと。 昨年、恩師夫妻の蓼科ライフを観てきたこともあり、いつまでも暑いこの夏、あこがれが募る。 集まりでは肩書きを外し「ちづこさん」と呼ばれ、妙に肩書きをひけらかしたり、ねちねちと詮索する人は、すぐに集まりから除外されるというのも痛快。恩師夫妻の住まいと同様、壁一面の本棚こそ、今までの財産なんだ。 作家、色川大吉さんを看取り、「おふた…
「ラジオ深夜便」のインタビューで、生成AIの威力を試す。 1:「PLAUD NOTE」を使って、文字起こし。 2:「Claude」で、修正してもらおうとしたが、著作権の関係で、要約しか提示されなかった。 3:「perplexity」 4:「ChatGPT」を使って修正。インタビューのまとめらしくなった。 ーーーーーーーーーーーーーーー 1:PLAUD NOTE 日本総合研究所会長の 寺島実郎さんのお話です。寺島さんは 1947年 北海道を生まれ、1973年 大学院を卒業後、三井物産に入社、イラン革命や アメリカ大使館選挙事件など 行われました。その後、ワシントン事務所長などを歴任し、2009年…
たまたま知った本。チベットの女流詩人たちの邦訳本*1は出ましたが、チベットの女流作家の小説はないのかと思っていたら、ちゃんとあって、出た。「自治区の女性作家が初めてチベット語で発表した長編小説」とのことで、ちゃんとあるんですね、チベットの女性作家の小説、と、もう一度書きます。 花と夢 アジア文芸ライブラリー 作者:ツェリン ヤンキー 春秋社 Amazon 花と夢 - 春秋社 ―考える愉しさを、いつまでも チベットの小説は以前勉誠出版からいろいろ出ていて、その時の編集者堀郁夫サンが転職した春陽堂から、ペマ・ツェテンサン映画化小説邦訳『風船』を封切時に出した後、ラシャムジャ短編集『路上の陽光』*2…
「名言との対話」9月分の人選を行った。 今年は「令和」に亡くなった人を中心に選んでいる。適当な人物がいなければ、「平成」のなるべく近い人を選ぶという方針。 知っている名前が、いつの間にか姿を消している。亡くなった特に話題にになるのはごく一部だということがわかる。 内橋克人。安倍譲二。野田一夫。瀬島龍三。阿部謹也。古川貞次郎。神近義郎。神坂次郎。色川大吉。エリザベス二世。加藤紘一。高見のっぽ。久米是志。加藤九祚。宮沢章夫。市川猿翁。矢尾板貞夫。杉田信夫。樹木希林。金森久雄。逆鉾。清元澄子。河鍋孝文。又市征治。庄司照江。米川哲夫。豊山。塩川正十郎。ゴーマン美智子。加藤秀俊。伊東俊太郎。遠山一。五十…
山田宗睦氏の訃報に接した。6月17日逝去。享年99.氏は1950年代東大出版会の編集者として活躍した。 ここに山田宗睦氏会見記(20070703)がある。山田氏が企画をたてた『近代日本の思想家』全11巻(1958-2008)の完結を前にしてインタビューをしたものである。氏の了解も得て、某誌に掲載する予定で準備したのだが、掲載されなかった。補足が必要だが、いまは、当時のままの文章を載せることで、氏を偲ぶことにする。 ーーーーーーー 山田宗睦氏会見記 070703 辻堂駅前Denny’s にて ○:山田氏 ●:竹中英俊 〇 松本三之介さんの『吉野作造』の原稿ができて「近代日本の思想家」のシリーズが…
全5項目 ●代表作 ●「わたしの渡世日記」で語った主な映画29本 ・下巻16本 ●岡俊雄「西部劇入門」荒地出版社より1本 ●斎藤明美の編「高峰秀子 かく語りき」対談集より9本 ●「 「自由を我等に」より 全5項目 ●代表作 俳優「流れる」成瀬巳喜男、 「乱れる」成瀬、 「女が階段を上る時」、 「浮雲」成瀬、 「稲妻」成瀬、 「二十四の瞳」木下恵介、 「無法松の一生」1958年、 「張込み」野村芳太郎、 シングル「銀座カンカン娘」、 エッセイ「わたしの渡世日記」等 俳優、歌手、エッセイスト、脚本家 等で活躍した女性の高峰秀子が語った・影響を受けた・好きだった映画。 ●「わたしの渡世日記」で語った…
図解塾:図解「JAPAN」プロジェクト⑤。規定科目は「俳句」と「日本国憲法」。 私の近況報告:福祉図解塾。PLAUD NOTE「林芙美子」。上野誠「万葉集」。エマーソン「一語千金」。福富太郎「日本一」。石橋博良「気候」。吉岡弥生「掛川」。小泉八雲「焼津」。 以下、塾生の学び。 先生、みなさまお疲れさまでした。PLAUD NOTEを、さっそく楽しそうに使われていて、とても役にたちそうで良かったです。また、いろいろな方のライフワークについてのお話は、みな充実し愉しまれている方ばかり、まさに、アクティブ・シニアですね。『アクティブ・シニア革命』も、快活に、よく笑い、上機嫌に、過ごすためのヒントがちり…
低気圧が過ぎ去った今日は、雲一つない青空が広がり、爽やかな一日となりました‥。 さて今日は、町立図書館に行って、5月19日(日)から25日(土)までの朝日新聞一面コラム「折々のことば」を、まとめ読みしてきました。この一週間で印象に残ったのは、三つの「ことば」でした。 まず、5月21日(火)は、色川大吉さんの「劇的な時代というものは、どの部分をきりとってみても、その断面にはミクロのドラマを内在しているようだ。」という「ことば」で、いつものように鷲田清一さんの、次のような解説がありました。 『明治の精神史を論じる歴史学者は、思想の大伽藍(がらん)ではなく、民衆の意識と運動に分け入り、 その地下水を…
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昨日は、昭和の日だったそうです。 私には、4月29日というと、天皇誕生日です。昭和天皇の生まれた日というわけです。 どんな経緯で、4月29日が「昭和の日」なったか、賛否いろいろあったようですが、忘れてしました。 マスコミも、補選の自民党全廃には注目しましたが、昭和は、取り上げていないようです。昭和も遠くなりにけり。 私の手元に、文芸春秋・特別号「大いなる昭和」(永久保存版)という分厚い雑誌があります。ほとんどすべて捨てた中で、残した数少ない雑誌です。 昭和天皇が死去した1989年(昭和64年・平成元年)の3月発行のものです。当時の有名な学者・評論家・小説・芸術家の感想・随筆・論説を集めたもので…
普通の風邪とインフルエンザの違いがよくわからない。風邪は「風邪ウイルス」によって引き起こされるのかな。風邪の重症なのがインフルエンザだと勘ちがいしていた。インターネットでインフルエンザを調べてみた。こう書いてあった。 「インフルエンザとは、38度以上の発熱や寒気、全身の痛みやだるさなどの症状が現れる病気です。」 幸いなことに、ここ20年くらい、38度以上の熱がでるような風もインフルエンザにも罹っていない。最近は毎年インフルエンザワクチンをうっているからだろうか。2004年にC型肝炎ウイルを排除するためにペグ・インターフェロンの注射とリバビリン服薬を行った時に副反応で38度くらいの熱に苦しんだこ…