「自分とは、いったい何なのでしょうか」 普段、私たちは自分の体と心がひとつのものであることを、疑いもせずに生きています。でも、もしひとつの体にふたつの心が宿っていたとしたら。そのとき、「自分」という存在の境界線は、どこに引かれるのでしょうか。 今回ご紹介するのは、第171回芥川賞を受賞した朝比奈秋さんの『サンショウウオの四十九日』です。この物語は、ひとつの体を共有する姉妹を主人公に、身体と意識、そして生と死という、誰もが一度は考える根源的なテーマに迫る、衝撃的でとても深いお話です。 周りからは「ひとり」に見える体に宿る、ふたりの姉妹。彼女たちの日常を通して、私たちが当たり前だと思っている「自分…