芦屋釜に魅せられて──国指定重要文化財の茶の湯釜を訪ねて 先日、念願だった芦屋釜の実物を拝見する機会に恵まれました。茶の湯釜として国の重要文化財に指定されている9点のうち、なんと8点が芦屋釜──その圧倒的な存在感と歴史的価値に、ただただ圧倒されるばかりでした。 芦屋釜とは、室町時代から戦国時代にかけて、現在の福岡県芦屋町で製作された茶の湯釜のこと。鉄の質、鋳造技術、そして意匠の美しさにおいて、他の産地の釜とは一線を画す存在です。特に、文様の繊細さと釜肌の柔らかな光沢は、まるで時を超えて語りかけてくるような静かな迫力を感じさせます。 展示室に足を踏み入れた瞬間、空気が変わったような気がしました。…