花月楼女将平岡静子は相撲とは浅からぬ縁がある。 先にみたように、国技館で相撲見物をし、玉椿を贔屓にした好角家であったようだ。 白井権八『いろ手帳』(美人大学社 大正3年)の「若様腕白録」から引く(原文に適宜句読点を補った)。 なお、著者白井権八のことはわからない。歌舞伎にも登場する「白井権八」の名前を使った筆名かと思われる。。 田中銀之助は銀さんの名を以て通る、銀さんは繁さん、鐵さんの兄さん株であるだけに腕白も亦一段上だつた。 併し近頃は余り乱暴はしないが昔は随分やつた。常陸山が入幕当時の人気といふものは素晴しいもので齋藤緑雨も唄ふらく『ぐッと差したる常陸が力、関の鳳凰も振かねぬ』何でも常陸山…