文芸評論家(1909-1974)。 福岡県出身。京都大学文学部中退。
著書は『復興期の精神』『鳥獣戯話』『室町小説集』『近代の超克』『アバンギャルド芸術』『新編映画的思考』『恥部の思想』など。 また、カフカ作品の翻訳を手掛けた。
脚本家の花田十輝は孫。
これまで、定年後再就職せず無職のまま自分の可能性を耕していく生き方をしていればいいと自分を納得させてきた。ところがここ数日、夢に見る内容を振り返ってみると、お前はどんな仕事をして何を残すのか、という問いが発せられているような気がする。あれは四年ほど前のことだろうか、ある友人がぼくに突きつけた言葉が今も残り続けているらしい、、、 「お前は仕事で何を残したのか?」 男としてその問いに答えられないのは、辛いことだ。ぼくが選んだ職業は、何となく、仕方なくだった。これはいけなかった。ヘルマン・ヘッセと同じで、将来に対する明確な見通しをどうしても持てなかったから、何となく、仕方なくがいつものやり方だった。…
先週に引き続きで、木曜の夜はジムでトレーニングとなりです。これは 新しい生活習慣になるでしょうか。終えて戻ってきてから、シャワーを浴び たりしますと、22時をまわってしまうことです。 さてさて、本日の読書をしなくてです。足立巻一さんの「虹滅記」は残りの ページが少なくなりましたので、ここまできましたら、先を急ぐ必要はありま せんので、ゆっくりと楽しむことにいたしましょう。(たぶん、足立さんの 本の次は「やちまた」を手にすることになるのでしょう。舞台となるまちを 訪ねる予定もあることですから。) そんなわけで、最近に届いた本を手にしてパラパラと中をのぞいてみること になりです。 黒鳥社というとこ…
亡国の予言―いいかげんに無知・無告の産業兵士(サラリーマン)なんかやめてしまえ!作者:岡庭 昇徳間書店Amazon 私が大学生の頃、岡庭昇さんはリベラルな論客だと認識していて、一時期、古本屋で著書を見かけた時に購入していたことがありました。 しかしその後、●●学会を擁護していると知ってやっぱりダメだと失望したものです。 今回その中から一冊、積ん読書の整理のために速読の練習に読んでみました。 本書の発行は1991年7月。ちょうどバブルがはじけた直後です。 本書にもバブルの責任を特定の企業を生贄にしてうやむやにしようとしている、という記述があります。 しかしもう30年近く前の本です。時代も大きく変…
遅ればせながら、すが秀実「花田清輝の「党」」(「群像」2022年3月)を読んだ。 以前、何度か触れたことだが、花田清輝は、現代史を「〔…〕二つの戦争によってきりとらずに、逆にそれらの二つの戦争に終止符をうった二つの革命によって――つまり、ロシア革命と中国革命とによってきりとっ」た(「現代史の時代区分」一九六〇年)。戦争中心の歴史観から革命中止の歴史観へ。眼前の一九六〇年安保反対闘争が「ほとんどナショナリズムの立場からなされているということ」への批判として提示されたこの革命中心の歴史観を、一九六八年革命へと延長させ史論を書き継いでいったのが、すが秀実であることは論を俟たない。 いまや、ロシアや中…
読んだ 豊崎由美・栗原裕一郎「石原慎太郎を読んでみた」 室生犀星「舌を噛み切った女」 「知っておきたい映画監督100 日本映画編」 花田清輝「七・錯乱の論理・二つの世界」 「小林多喜二初期作品集 老いた体操教師・瀧子其他」 李龍徳「死にたくなったら電話して」 岩阪恵子「掘るひと」 李龍徳「あなたが私を竹槍で突き殺す前に」 堀江敏幸「振り子で言葉を探るように」 五十嵐太郎「現代建築に関する16章」 円地文子「女面」 小林信彦「ぼくたちの好きな戦争」 「新鋭作家叢書 後藤明生集」 「吉田健一ふたたび」 安部公房「夢の逃亡」 「松本圭二セレクション6 電波詩集」 「新潮 2021年9月号」 観た 「…
最近、仕事が忙しくなってきた。遅れて日記も記憶を辿って書いている。 図面ばかりみている。思えば、院生の頃に就活していたとき、設備関係の仕事もみており、図面ばかり見る仕事ですけど、いいのでしょうか、と言われた記憶もある。まあ、性に合ってるのかもしれない。建築学科も目指していたから、母親も図面を引いてご飯を食べていたから、血筋といえば血筋な気がする。 社史編纂室みたいなところから少し、変わった仕事、と言えるのかもしれない。そういえば、学科卒の脚本家も大学の社史編纂室だったり、学校の事務だったりするので流れといえば流れなのかもしれないなと思う。 マッチングアプリで文芸誌でライティングしている人とマッ…
本日に新潮「波」4月号が届きました。いつも楽しみにしている「波」です が、今月の表紙は津野海太郎さんが自宅で本を読んでいる写真であります。 津野さんのご自宅での映像は、以前にNHK教育TVでジブリの鈴木さんと対談 したときにすこし流れたように思いますが(録画していますが、いまは確認せ ずです。)、この部屋の書棚写真は映し出されていただろうかな。 どちらにしても、この書棚に何が置かれているのか興味深いものでありまし て、これをチェックすることにです。すぐにそれとわかる本もあるのですが、 それじゃ、そのとなりあるものは、なんであるのだろうかと思ってみますと、 これが判然とせずで、それではと天眼鏡(…
3月29日 誕生日の全国35万人の皆さん、おめでとうございます (拙句) 初恋の花堅香子は万葉花 雅舟 【花】カタクリ(ユリ科) 【花言葉】初恋 【短歌】雪解けの山の斜面を埋めて咲くカタクリの花そよぎ止まざり 雪が解けたばかりの日当たりのいい山の斜面いっぱいに、 カタクリの花が咲いていました。まだ葉を出さない木々の 上から上から注ぐ光と、斜面を撫でて吹く風の柔らかさ。 【季語】片栗の花 (万葉名・かたかごの花) 【俳句】 かたくりの花の韋駄天走りかな 綾部 仁喜 万葉の風に堅香子咲きにけり 渡辺 萩風 含羞を形にすれば花堅香子 鈴木 石夫 【三行詩】万葉歌を代表する花 八十乙女 かたかご この…
松下裕(まつしたゆたか)著『[増訂]評伝中野重治』(平凡社ライブラリー/2011年)は読了後も折に触れ目を通す本です。中野重治は私にとって、鶴見俊輔とともに若い頃からもっと多くの作品を読むべきであったとの悔いを残させる著述家です。が、中野と鶴見を並べて考えることはありませんでした。中野と並べていたのは大西巨人です。中野は1902年、大西は1916年生まれで、世代は違いますが、ともに日本共産党と新日本文学会に所属していたことでそう考えたのでしょう。中野は日本共産党から1964年に除名され(二度目!)、大西は除名はされなかったのですが1961年から同党と「事実上の絶縁状態にな」(講談社文芸文庫版『…
サルマン・ラシュディ『真夜中の子供たち』 花田清輝『新編映画的思考』 M・ジョン・ハリスン『ヴィリコニウム パステル都市の物語』 山本貴光編『世界を読み解く科学本』 岡和田晃編『いかに終わるか 山野浩一発掘小説集』 サルマン・ラシュディ『真夜中の子供たち』 真夜中の子供たち(上) (岩波文庫)作者:サルマン・ラシュディ岩波書店Amazon1947年8月15日インド独立の真夜中零時に生まれた特殊な力を持つ子供達の一人、サリーム・シナイが自らの生涯を語ることが、同じ日に生まれたインドの歴史を語ることにもなるというギミックを用いて主人公とインドの歴史を描く千ページを超える大作。冒頭、ドイツで医学を学…
埴谷雄高『死霊』 野崎六助『異端論争の彼方へ 埴谷雄高・花田清輝・吉本隆明』インパクト出版会(2013年)を読む。 「マルクス主義という神は死んだ」 ソ連の崩壊が社会主義の敗北の象徴として多く語られている。 しかしそんな時代に生まれた次世代の僕は思う。 マルクス、マルクス、マルクス。 僕が手にとる本はどういう訳か、マルクスのことばかり語られている。 もういい加減マルクスのことはいい。参った。 僕は埴谷雄高という人物の思想体系について学びたいのだ。 逆説的にマルクスは勝っていないだろうか。 こんなにもあらゆる書物に出てくる人物はマルクスくらいではないだろうか。 書物は精神なのだからマルクスは当然…
発売されたばかりの「図書新聞」2022年3月17日号に、いよいよ連載8年目(!)に突入した「〈世界内戦〉下の文芸時評」の「第八五回 プロパガンダの包囲網から逃れ、「以後」の世界へ跳躍する道筋」が掲載されています。 今回は、ロシア政府と軍によるウクライナ侵攻を批判し、その20世紀性と21世紀性をそれぞれ論じています。 そのうえで、NATOのプロパガンダにも与しない道筋を探るべきと提唱し、以下の作品を取り上げています。 ・イリヤ・カミンスキー「オデッサで踊る」(佐峰存訳、「現代詩手帖」二〇二二年二月号)・マイケル・パーマー「ミッドナイツ」(山内功一郎訳編、同「現代詩手帖」)・イサーク・バーベリ『騎…
埴谷雄高(1909-1997)川西政明『評伝埴谷雄高』(河出書房新社、1997)より無断で切取らせていたたきました。 追悼文の名匠はと問われて、即座に思い浮ぶ数名の文人から、この人が漏れることはない。 追悼文の名篇が残るには、まず依頼されねば始まらない。他界されたアノ人に言葉を手向けるとなれば、そりゃあまず埴谷さんだろうと、編集者・出版人がたから思われねばならない。生前の故人と好ましい交流があり、故人の人となりと業績とを正しく評価でき、それらを魅力的に再現できる表現力において、信用されねばならない。 魅力的に再現するとは、故人の生涯の核心部分を、おゝかたの人より深く摑み、しかも表現されてみれば…
はじめに 以下はmurashitさんの次の記事に触発されて書くものです。 murashit.hateblo.jp そういえば私もこのへんのハナシが好きだったはずだけど、最近読んでなかったな、と思って、じゃあ自分の好みをまとめておこうかな、という気持になったのです。 タイトルに挙げた「探求型小説」というのは仮につけたものです。この手の作品はけっこう多いので、たぶんもっと適当なネーミングをしている人がすでにいるはずですが、私は以下、この名称のもとにいくつかのジャンルに当てはまる特徴をまとめてみたいと考えています。 近いことはこれまで、「歴史ミステリ」についてだとか、「メタフィクション」についてだと…
■1979(昭和54)年に詩集『笑いと身体』(詩辞詩宴社)で第12回小熊秀雄賞を受賞された石毛拓郎氏の本を、旭川文学資料館で拝見したことはありましたが…今回初めて、個人誌「飛脚」(2022年1月7日 編集・発行:石毛拓郎氏)を拝読させて戴きました。「食卓から生の五感、直という五感にまつわる身体の所作が、消え去ろうとしている…」、エッセイ「熟柿と器」を首肯しつつ拝読。一昨日はマクドナルド、昨日はコンビニのおにぎり、今日はレトルトのパスタを解凍しておりますから(笑)…「「盛る器」と「盛られる食材」の相互扶助の関係が毀れて、日々の食器にのぼる彼らは、瀕死の情景を晒しているばかりである。」「本来の「旨…
小沢信男の『捨身な人』【2013.12.20. 晶文社 刊】を読んだ。小沢本はどれも皆 サラリとしながら濃厚な味わいで舌を巻く。池内紀は「その書きものは溌剌としてエスプリとユーモアに富んでいる。やんわりと毒がこもっていて、辛辣で鋭い。それでいて表現に恥じらいがあり、凛として美意識につらぬかれている」と書いている。【2017.3.10. ちくま文庫オリジナル『ぼくの東京全集』解説 百景から全集へ 】 今回も堪能した。 交遊のあった五人について書いた本だが、「捨身な人」は、小沢も含めて六人 いずれも「素敵な人」たちだ。 中から、花田清輝が生涯掲げ続けた「共同制作」と「著作権」についての小沢の一節を…