1952年(昭27)3月~1953年(昭28)2月 雑誌「読切俱楽部」連載 1958年(昭33)同光社出版刊。「手妻はだし」「天狗隠し」「名指し幽霊」など12篇所収。 城昌幸の代名詞ともなった『若さま侍捕物手帖』のシリーズは戦前の1939年(昭16)に第1作を書いてから足かけ30年近くまで長短交えて約300篇を数えるという。戦後は雑誌「読切倶楽部」に4年間ほど連載したが、その最初の12篇が単行本として出されたのが本書である。 人気を博したシリーズ物の強みは、人物設定と状況設定の雛形化(テンプレート化と言った方がわかりやすいかも)にある。ここでは、姓名も身元も不詳の若さま侍、御用聞きの遠州屋小吉…