若草台。 名前だけ聞くと、爽やかである。 風が吹く。 草が揺れる。 朝露が光る。 配達員の心も少し浄化される。 ……ような気がした。 甘かった。 若草台に入った配達員を待っているのは、草原ではない。 犬。 焼肉。 和食。 チョコ。 筋トレ。 ドラッグストア。 コンビニ。 そして揚げ物。 情報量が多い。 名前は若草なのに、現場は五感の総力戦である。 「若草台」という名前からアルプスの少女みたいな景色を想像した僕が甘かった。 ここは青葉区の五感ラッシュアワー。 原付50cc配達員の鼻と胃袋と判断力が、順番に試される街である。 若草台という名前の罠。爽やかそうに見えて情報量が多い 若草台という町名は…