訓読 >>> 秋の田の穂田(ほだ)の刈りばかか寄りあはばそこもか人の我(わ)を言(こと)成(な)さむ 要旨 >>> 秋の田で穂を刈る分担の場で、お互いに近寄っていったら、それだけで他の人は私たちのことを噂するでしょうか。 鑑賞 >>> 作者の「草嬢(くさのおとめ)」は「かやのおとめ」とも読みますが、伝未詳です。あるいは固有名詞ではなく、田舎の娘のことともいわれます。「穂田」は稲穂が実った田。「刈りばか」は稲を刈り取る分担の意味で、「はか」は一つの区切られた場所、担当の箇所のことをいいます。「一はか」が、一人が一日に刈るべき区域だったのかもしれません。いま私たちが「はかどる」と言っているのは、決…