1979年11月、榛の木社から刊行された藤原義信の詩集。装幀は佐野由生。著者は菅原克己主宰サークルPの会員。 藤原さんの詩は平明である。むずかしい言葉や意味は一つもない。これほどむずかしくない詩集は珍しいと言ってもいいくらいで、彼は笑いながら、どこからでも気楽に入って下さい、とでも言っているようだ。だが、むずかしくないということは、決して安易な詩だということではない。言葉によりかかったてらい、ポーズ、あるいはあいまいさがなく、率直に、透明に中身に入っていけることを意味する。 言葉が透明であるということは、ほんとうはむずかしいことなのだ。しかし藤原さんは、それが自分にとってもっとも自然だと思って…