1897年(明30)9月~1898年(明31)2月 雑誌「人情世界」連載、日本館本部発行 講談速記本の形になっているが、演者の菊水舎薫(きくすいしゃ・かおる)は元々主筆の高橋翠葉(恋菊園)の門人だったのが、大阪に行って講談師の資格を取り、東京に戻ってきたという。手持ちの新作講談を連載してもらうことになったと紹介している。 明治初期の西南戦争の頃の実話に基づいている。ならず者の継父の手から離れて村長に養育されているお絹は、ある日大金を銀行に預けに行くよう頼まれるが、途中で継父に出会い、その金を強奪される。そのため自分の親を牢獄に送ってまで正義を貫くべきか否かで悩み、結局自身を芸妓に身売りしてその…