酒は毒である。医学的、科学的な事実として、アルコールが人体にもたらす影響にポジティブな要素はほとんどない。少量の飲酒が循環器系に良いというかつての言説すら、今や「適量を守れるほど健康管理意識が高いライフスタイルを送っている人だから」という前提条件付きのデータとして相対化されつつある。少しの飲酒でも高血圧のリスクは跳ね上がり、心不全の引き金になり得る。それにもかかわらず、なぜ私たちはこの毒液を「うまい」と欲し、理性が吹き飛ぶリスクを冒してまで杯を重ねるのか。葉石かおり著、浅部伸一監修による『なぜ酔っ払うと酒がうまいのか』(日経BP)は、この永遠の矛盾に対して22人の専門家が容赦のない科学的現実を…