登山の楽しみの一つは、山麓の湯だろう。三十年以上昔の政府の肝いり政策・ふるさと創生事業で支給された支援金を元で多くの温泉施設が至る所にできた。下山して緊張が解ける。そこに暖かい湯がある。いつか山が目的なのか湯が目的なのかわからなくなる。有名な温泉地ばかりではなく名もない古くからの温泉地や湯治場もあれは、それこそふるさと創出事業であたりをボーリングして出来た日帰り湯まで、温泉はその気になればすぐに見つかる。 いったいこれ迄幾つの温泉に入ったのか、あいにくと数えていない。登山の回数とそれはほぼ同じだろう。数百カ所だろうか。どの湯も素晴らしいのだが、やはりひなびた共同湯がありがたい。更衣室の篭など数…