2025年12月5日。奈良を盛り上げるコミュニティ「はじめる会」の打ち合わせで、明日香村に向かっていた。その前に、42歳になって初めて、「石舞台古墳」を訪れた。 手塚治虫の『火の鳥(ヤマト編)』では、「できそこないのような墓」と記されていた。子どもの頃、その言葉が胸に刺さっていた。だから長らく、石舞台を自分の足で見に行くことを避けてきたのかもしれない。 しかし、写真でしか知らなかった巨石が、目の前に姿を現した瞬間、思わず息をのんだ。そこには、奈良の心そのものが横たわっていた。 石舞台古墳は、春には桜、秋には紅葉が古墳の周囲を鮮やかに染める。赤く燃える楓の奥に巨石が静かに佇む光景は、古代からの使…