1923年〜1991年 東京・湯島生まれ。 早稲田大学文学部仏文科卒。同大学文学部副手を経て、フリーライター。文芸批評、映画・スポーツ評論、エッセイなどを書く。 スポーツの観かたを変えた人。こういう観点で、スポーツ小説を書いた人はいなかったのではないか? スポーツにおける男女差を描くのも得意とした。
虫明亜呂無さんの小説を読んだ。エッセイや評論を読んではいたのだが、小説も書いていて、1979年には直木賞候補にもなっている。「シャガールの馬」というこの短編集が対象だった。小説だけをかいているわけじゃないのか、1971年から78年までと比較的長い期間の作品を集めている。 そして、すべてスポーツにまつわる話である。フィクションと断っているが、実際の選手が登場する話もある。マラソン、競馬、プロ野球と種目もさまざまである。 シャガールの馬 (1978年) Amazon 「海の中道」は、マラソン選手とコーチの話だ。福岡国際マラソンという舞台からどこかノンフィクション的なアプローチ。沢木耕太郎さんのルポ…
虫明亜呂無という書き手をご存じだろうか。名前からして印象的だが、その文章も名前に負けないインパクトがある。まとまった文章を読んだのは、玉木正之さん編集の文庫本を古本で手に入れた時で、たぶん15年ほど前が最初かと思う。こんな美しい文章を書く人がいるのかと、とりわけスポーツをこのように表現できる人がいるのかと驚かされた。さしあたり、澁澤龍彦や中井英夫がスポーツ記事を書いたという感じだろうか。我ながら、安易過ぎる例えだな。 自分の結婚式にラグビーの早慶戦を見て遅れたり、仲人を務めた小林信彦さんの結婚式でも野球中継を聞いていたりと、度がこえたスポーツ好きだったらしい。しかし、スポーツのみならず、小説も…
桶屋が儲かる・・・ほんとうに? *** 民度を上げないと国力が下がって、国力が下がるとまずしくなって、まずしくなると人心が荒れて、人心が荒れると暮らしの水準が下がって、結果的に不幸になるひとがふえる、のかな。どうなんだろう。ちょっとかんがえてしまう。 「一億総中流」などということばが教科書にのるような国で、どのようなかたちが望ましいのか、私には見当もつかない。重税を課すよりは金満家たちに自発的に寄付してもらいたい、ひいては子どもたちにそのように刷りこみをしてほしい、なんて。アホか。 みんながおなじようにしあわせになるのは無理だから、度合いで考えるしかない。といって、いまを10としてそれが12に…