初めてマーラーの『リュッケルトの詩による5つの歌曲』を聴いたときは、マーラーにもこんなに静謐で繊細で内的な音楽が書けるのだな、と驚いたものだった。 金管や打楽器をドンドンブカブカ鳴らすばかりがマーラーではないのだなと知る。 これを彼が書いたのは1901年から翌年にかけてで、同じ時期に「第5交響曲』も書いている。第5の第4楽章の有名なアダージェットの、夢見るような静かな抒情と、この歌曲集は通じるものがある。 そしてこのころは、アルマとの結婚生活が始まった時期でもある。ほやほやの新婚気分で、ロマンチックな音楽を書く気になったのだろうか。ツェムリンスキー門下で作曲を学び、すでに何曲も歌曲を書いていた…