宅地造成やゴルフ場造成などの土地開発によって貴重な岩石・鉱物の産地が意図せず廃れてしまうことは、残念ながらしばしばあるようです。 かつて灰クロムざくろ石 (uvarovite; Ca3Cr(III)2Si3O12) の産地として名高かったという、埼玉県越生町西和田付近に分布する蛇紋岩もその一つです。昨年度県立自然の博物館で催された特別展『The 蛇紋岩』で目にされた人もいることでしょう。 本地域の蛇紋岩は、白亜紀の沈み込み型広域変成帯である三波川変成帯に属し、周囲の苦鉄質片岩と少量の泥質片岩に伴われる形で分布しています。灰クロムざくろ石は蛇紋岩中に暗緑色の粒状結晶として産したらしく、今ではゴル…