なぜ、優れた詩人がいる一方で、平凡な詩人もいるのか。 北欧神話は、この身も蓋もない問いにさえ、ひとつの神話的な答えを用意していました。それが「詩の蜂蜜酒」の物語です。アース神族とヴァン神族の和解から生まれた賢者クヴァシルの血を起源とするこの蜜酒は、オーディン自身が変身と欺瞞、そして三夜の情事を重ねてまで手に入れようとした、この世でもっとも価値ある飲み物でした。今回は、その数奇な旅路を追っていきます。 賢者クヴァシルの死|ドワーフに殺された知恵の化身 以前の記事で触れた通り、アース神族とヴァン神族の和解の際、両陣族の神々が唾を吐き入れた壺から、あらゆる問いに答えることができる賢者クヴァシルが生ま…