室町時代の僧。念誉行明、長沼行明とも*1。
豊後国の大友宗麟の家臣・長沼氏の系譜。現在の福岡県福岡市博多区住吉にある妙円寺の住職を務め、この地の浄土宗の復興のために尽力し、永禄六年(西暦1563年)に没した。
浄土三部経の四十八願に因んで四十八ヶ寺の建立を企図し、筑前や筑後などの地に数多の寺を開いた。そのなかには今に残るものもある。
今に残る行明の開基寺
- 本願寺 - 金峯山と号する浄土宗の寺で、福岡県福岡市西区の野方という町にあり、天文年間(1532年〜1554年)の開基。 → 本願寺 〔金峯山〕
- 摂取寺 - 光明山と号する浄土宗の寺で、福岡県福岡市博多区の立花寺という町にある。かつては『立花寺の六坊』の一に数えられた。 → 光明山摂取寺
- 西専寺 - 紫雲山と号する浄土宗の寺で、福岡県福岡市博多区の諸岡という町にある。古くは岡山西専寺または諸岡山西専寺と号した。永正三年(西暦1506年)の銘のある梵字板碑を寺宝として有す(1989年から県の有形文化財)。諸岡川と御笠川との合流地点に近い。 → 西専寺 〔紫雲山〕
- 無量寺 - 智願山と号する浄土宗の寺で、福岡県春日市の須玖という町にある。智願山、深広院、無量寺。 → 智願山無量寺
- 正法寺 - 天龍山、八部院と号する浄土宗の寺で、福岡県福岡市南区の横手という町にある。境内に行明の『假墓』なるものがあるというが、山門が常に閉ざされているため、それを観ることはできない。門を閉ざすというその時点でそもそも仏教の根本理念を全く理解していないという信仰上のことはとりあえず置いておくとしても、寺がなぜ法人税を免除されているのかを全く理解していない点は笑止に尽きよう。 → 正法寺 〔天龍山〕
- 専修寺 - 一向山と号する浄土宗の寺で、福岡県久留米市の藤山町という町にある。元々は行基菩薩の開基で天台宗であったが、兵火で失したことから、行明の手により浄土宗寺としての復興を受けた。
- 浄土院 - 安楽山と号する浄土宗の寺で、福岡県古賀市の新原という町にある。
- ほか...