21世紀に初頭から現代文明は変調をきたしている。歴史家や経済史家、科学者らはそれぞれ危機意識を込めた「衰亡論」を提案している。それと並行して「世界史」ものも話題になっているが、これも人びとが過去をマクロな視点で振り返りつつ、次にどう歩むかを考えている証(あかし)であろう。 1970年代にローマクラブが提出したレポート『成長の限界』も衰亡論の走りであり、原点だと理解することができる。 その長所は何かというと複眼的で相関的なところだろう。文明の衰弱は一つの原因だけではないということだ。 ラインハートとロゴフ『国家は破綻する――金融危機の800年』は国家財政に焦点を当てている。GDPの低減に絞ったの…