『装丁物語』/和田誠/中公文庫/2020年刊 日本で流通する書籍にバーコードが印刷されるようになったのは、だいたい1990年頃だそうだ。私は小学4年生か5年生くらいだったはずで、だからまあ自分のお小遣いで本を買うようになる頃には、あって当たり前のものになっていた。記憶を掘りおこせば、小学校低学年の頃にお小遣いで買った『ドラえもん』の単行本には、じっくり眺めたその裏表紙には、あんなものはなかったような気がするけれども。 大人になって本を作ることになったとき、一番楽しかったことの一つはデザイナーさんとの打ち合わせだった。本文用紙は時間が経つと黄ばむ紙がいいとか、トイレに置いてもらえるような本にした…