五 森藩の場合 (4)幕末廃藩 幕末の森藩は、第10代藩主・久留島通明が病弱のため、異例にも叔父の通胤[みちたね]に譲位した嘉永五年(1852年)に始まる。通胤の藩主就任翌年にペリーの黒船来航があったが、その際、通胤は対応について(外様)諸藩の意見を聴取すべきことを具申した。 通胤の時代には藩内に尊王論が浸透していたと見え、藩内から尊王派藩士二名が脱藩する事件が起きると、如上の具申の件で幕府から不信感を持たれていたこともあり、通胤は重臣五人を辞任させることで、幕府への陳謝とした。 通胤を継いだ長男の久留島通靖は自らが薩摩藩に接近して尊皇派に与し、藩論を早くに尊王論でとりまとめた。これは家臣の人…