車谷長吉『赤目四十八瀧心中未遂』 今日は読書の話題です。1冊目は車谷長吉の『赤目四十八瀧心中未遂』。 読んだことのない作家の作品をと思い、30年ほど前の直木賞受賞作のこの作品を読んでみた。 身を持ち崩し、東京から関西にやってきた「私」は、尼崎の街の片隅にある吹き溜まりのようなアパートの一室で、来る日も来る日も肉や臓物を切り分け、モツを串に刺し続けて生きている。向かいの部屋は彫り師の仕事場で刺青を入れる客のうめき声が聞こえ、隣の部屋は街娼が夜な夜な男を連れ込んでいる。登場人物はみな、社会の底辺を、這い回るようにして生きている。中でも、伊賀屋の女主人のセイ子、彫り師の愛人のアヤという2人の女性は特…