レマルク(1939年) エーリヒ・マリーア・レマルク(1898-1970)の小説『西部戦線異状なし』は1928年に新聞に連載され、翌29年に単行本として出版された。右翼からはドイツの前線兵士たちの思い出を汚すものであるという批判、左翼からは戦争の原因が追究されていない、平和への志向が欠如しているといった批判などがなされたようであるが、1930年の6月にはミリオンセラーとなった。小説冒頭の「この本は訴えでもなければ告白といったものでもない。戦争によってだいなしにされた、たとえ彼らが榴弾を免れた場合でも、だいなしにされた一世代について報告する試みにすぎない」という著者の控え目な前書きはそのまま受け…