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覇権

(一般)
はけん

hegemony(英)

  1. 同盟・連盟内において、ある一国が他国を圧して主導権もしくは優越した影響力を有する状態
  2. リーダーシップ。支配。
  3. (特に、大国ではない国々において)世界規模の力を持つ大国によって、侵略もしくは拡張主義が行われること。
http://dictionary.reference.com/search?q=hegemony

日常語としては、(ある集団内での)圧倒的な権力、もしくは(スポーツなどの)競技での勝利(優勝)のこと。
国際政治においては、単純な力による支配ではなく、国際社会というゲームのルールを決定・維持し、他国にそれを認めさせる(自発的にせよ強制的にせよ)状態であるとされる*1

概説

語源となっている覇者にせよヘゲモン(hegemon)にせよ、いずれも小国が分立する世界において主導権を握った存在*2のことである。
ここで重要なのは、古代ギリシャにせよ春秋時代にせよ、いずれもある種の共通する価値観*3が存在し、そのルールの枠内での優劣を競っていたという点である*4
もちろん「ルール」は覇者が自由に変えられるというものでもないし*5、逆に万古不易なものでもない*6。が、ともかくも、「覇権」の存在する世界は、ホッブズ/マキャベリ的な闘争がすべてを支配する世界ではなく、ある種のルールが存在してそれに各競技者が縛られている状態にある*7

とはいうものの、フリードリヒ大王などが言うがごとく、国際法は強者の法としての側面を確かに持っていたし、その点では正義とか公正といった仮面を着けただけの支配の道具とも言えた。覇権国の側が維持しようとする「秩序」が、後発国・新興国にとって都合の悪いものであった場合、そのルール自体を破る試みがしばしばなされている*8。ルールを破ろうとする側からすれば、覇権に内包される「ルール」の存在も、力による支配に別の側面をかぶせただけだということになる。
「覇権主義」の語が、力によって他国に影響力を及ぼそうとする意で用いられ、本来の意味での覇者・覇権を目指す意味ではあまり用いられぬのも、故なきことではない*9

*1:たとえば、19世紀の英国の覇権は「パックス・ブリタニカ」と呼ばれ、つまりはブリタニアが国際秩序を維持していたということである

*2:国家というよりは諸侯とかポリスとか

*3:建前上は周王室の権威を敬うとか、オリンピア祭などを通じたヘレネスとしての自覚とか

*4:「陣形が乱れているときに攻撃するのは不仁だ」とか「三舎を避けたけど勝ちました」とかは、ルールの存在が認められているがゆえでの話である。

*5:「鼎の軽重を問う」は覇者がルール変更にチャレンジして阻止された話とも言える。

*6:戦国時代になって、結局は周王室も滅ぼされている

*7:あんまりやりすぎて、ルール外にいるバルバロイや蛮戎夷狄が攻めてきたら困りますし

*8:戦時国際法における不正規兵の扱いの変遷は、その部分でのせめぎ合いとも言える。きちんとした軍服をまとって組織だった指揮系統に属さなければ交戦者としての権利はない、というのは必要な「ルール」だと言えるが、ゲリラやレジスタンスの存在を認めないための「暴論」であるとも言える。どちらが正しいというものでもないが、ゲリラ戦を仕掛ける側に都合の悪いルールなのは事実である

*9:力があるから秩序を作れるのが覇道であって、つまりルールは力の後に付いてくるものだから。ルールに則って覇権を目指すというのは、今日的な国際法の下では、あまり簡単ではない

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