戦中末期、Korea半島山間部の面事務所で働く父は、同僚からは創氏改名で作った苗字で呼ばれていた。 たとえばフジワラ君とかサトウ君とか。 しかし地元の農民からは本名のままだった。たとえば本名が金なら、役職名を下につけて金技手(キムキス)のようになる。 積極的に聞き取りをしていた頃、自分は農民に対してきついことは一切していないと断言していた。 父は本名をkorea読みで呼ばれることにも、創氏改名した苗字で呼ばれることにも慣れていない人だった。 内地育ちなので、本名を日本語読みで呼ばれるのが一番しっくりきたのではないかと思う。 たとえば金さん(キンサン)李さん(リーサン)とか。 その頃が不愉快な思…