現代に生きる私たちにとって逃げることができない重い存在は、コロナ禍といっていい。この1年半、この話題が果てしなく続く日常だ。それは詩人にとっても無縁ではなく、最近、手元に届いた詩誌や小詩集にもコロナ禍が描かれている。この厄介な感染症が収束する日が一刻も早くやってくることを願いつつ、それらを読んでいる。 詩人でコラムニストの高橋郁男さん(元朝日新聞記者・天声人語担当)は文芸誌「コールサック」に『風信』という小詩集を連載している。2021年6月号の22回目は「東京・全球感染日誌・4」と題し、コロナ禍で明けた2021年を次のように書いた。 2021年 元旦 丑年が明ける コロナ禍の先行きが不透明で …