「原典って、実はこうだぜ」のアフタートークである。 もちろん本番は人気テレビ番組「100分de名著」だ。本番で言ったことのおさらいも兼ねて深掘りする。「奥の細道」は、「奥の細道」というフィクションである。「奥の細道」ワールドというものを芭蕉は構築する。その上で、地の文と句でもってワールドを見せる。実はその句の鑑賞とは、句だけから得られたものじゃなく、旅の行程でもって師匠と弟子がともに歩くさまを情景として描かせておいて、句がバーンっと放たれることで読者がワールドの中心へ持っていかれる。 デフォーが描くペストもノンフィクションと創作の境目がわかりにくい。ペスト禍のなか、一直線な惨禍を描くのではなく…