作家で映画監督のマルグリット・デュラス(1914~1996)は、結婚して出産後の29歳のとき『あつかましき人々』を発表し、82歳で死去するまで、小説やエッセイを含む著作は20冊以上、映画は15本以上製作しています。本人も言っていますが、まさに「病的」です。中島梓のようなワーカホリックとは違います。「書かざるを得ない」のです。 かの有名な『愛人/ラマン(1984)』という映画も小説(ゴングール賞受賞)も、わたしはずっと避けてきました。なぜだかわかりません。ところが、今年(2021)になってようやく読みました。あらすじを言うと、主人公の末娘「わたし」は、幼くして父を亡くし、狂気に取り憑かれた母、横…