「罪と罰」を読み終えて日にちが経ってしまった。忘れないうちにと感想を書き始めた途端に、ロシアのウクライナ侵攻である。大国と指導者。政治体制と歴史感。地政と経済。諸々が孕むものの重大性・危険性を改めて思い知らされた。マグマは、時として正当化されて暴発して、信じがたい蛮行をもたらす。 海外文学の楽しみに、作品に描かれる見知らぬ土地の歴史的・政治的・社会的・地理的な背景を知ることがある。作家はそれらを生き生きと語ってくれる。読者はそれらと同化して一喜一憂し、同時に、新しい知識に喜びを感じる。 「罪と罰」については超有名作という以外は全くの白紙。ロシアの文豪による難解な長編?あるいは、「おどろおどろし…