例えば、生まれてから約1,000日で死んだ人がいる。その人は、社会の中ではほんとうに小さな存在で、誰かに守ってもらわないと生きていけなかった。その人は、守ってもらえなかった。その人が最後に見た景色は何だっただろうか。天井だっただろうか。誰もいない台所だっただろうか。世界が閉じていく瞬間、何を思っただろうか。この世での1,000日間の滞在は楽しかっただろうか。見たいものは見られただろうか。食べたいものは食べられただろうか。 私たちはその人の死を「かわいそう」だと思っていいのだろうか。「かわいそう」という気持ちは、自分たちが経験してきたことを経験できずに死んでしまったことに対して向けられたものだろ…