私には1990年に知り合ったジョフというタイ人の友達がいる。タイの農家でホームステイをしてみたい、と思い、偶然知り合った農家の息子だ。私とほぼ同じ年である。 初めて滞在した時は1ヶ月ほどいたと思う。家族同然に扱ってくれた。東北タイ(イサーン)の小さな田んぼを所有する自作農で貧しい農家だ。ジョフと毎日一緒に行動した。同じものを食べ、同じ板間で寝た。食事は毎日ほぼ同じメニューで、飲み物は水しかなかった。村に電気が来たのが2~3年前で、電気製品は電灯しかなかった。雷が落ちるとしばしば停電し、数年前まで活躍していた灯油ランプを灯した。 粗末な高床式家屋を一歩外に出ると、あちこちの家の中から挨拶の声が掛…