贅沢貧乏(新潮文庫) 作者:森 茉莉 新潮社 Amazon 吾輩は黒猫ジュリエット。 牟礼魔利(むれまりあ)、自分のことみたい。一人称は常に「魔利」。日頃から「わたし」と言わない人なのか、第三者的にエッセイを進めているのか。 貧乏がゆえの精一杯の贅沢。それには妥協しない。 ビフテキの薔薇色と脂。室生犀星の女ひとより。 自分と後醍醐天皇を例える。わおー。 中年にちがいはないが、中身が13、14。 魔利の通学時代はもちろん俥。 帰宅したら「かおあらうおゆ」とひとこと女中に言う。 重いものは持ったことない。 顔も姿も駄目だが、心とようすだけは美人だと己惚れている。 家事には無能、加えて贅沢だから生活…