来月9月1日で関東大震災から100年経つそうである。 (1923年大正12年9月1日。死者10万5000人。) さて、「天災は忘れたころにやってくる」の言葉でもしられている、寺田寅彦の「柿の種」のなかに、この震災後早期の自然の復元力について興味ある記載がある。 科学者らしいいい記述である。 寺田寅彦は、物理学者で随筆家、俳人。 父親の寺田利正は、幕末土佐でおこった井口村刃傷事件で実弟の切腹介錯を務め、その後精神を病み、倒幕には参加せず、学問により社会を変えようと考えたことが、その子寅彦に軍人より学者を選ばせたといわれている。 夏目漱石の「吾輩は猫である」の水島寒月、「三四郎」の野々村宗八のモデ…