「伝統的家族観」という言葉が、SNSで話題になっていましたね。昭和の人気作家・獅子文六『おばあさん』も、どちらかというと“伝統的家族”にカウントされてしまいそうな小説です。チャーミングなおばあさんを中心に、3世代がわちゃわちゃしているのですから…。読んだ後に「絆♡」みたいな言葉が浮かぶかもしれません。朝日文庫の帯にも「笑えてほっこり、ちょっと泣ける、傑作ホームドラマ」とありますし。 獅子文六『おばあさん』連載中の3年間、状況は悪化する では実際に『おばあさん』が連載されていた時の誌面を見てみましょう。『おばあさん』は日米開戦「後」の昭和17年2月から昭和19年5月まで「主婦之友」に連載されまし…