罪障観における道元禅と親鸞教とのあいだ 唐子正定 2022.8 道元禅師の罪障観と衆生済度 以下のことばは、『正法眼蔵』「行仏威儀」中の道元禅師の独特な罪障観と徹底的な衆生済度の説示が示されていて非常に難解である。 諸仏いはく、此輩罪根深重しはいざいこんじんじゅうなり、可憐憫者かれんみんしゃなり。深重の罪根たとひ無端なりとも、此輩の深重担なり。この深重担、しばらく放行ほうあんして著眼観ぢゃげんかんすべし。把定はちんして自己を礙すといふとも、起首にあらず。いま行仏威儀の無礙なる、ほとけに礙せらるるに、拕泥滞水の活路を通達しきたるゆゑに無罣礙なり。上天にしては化天す、人間にしては化人す、華開の功徳…