農家生まれの小せがれは、農業協同組合(農協)なくしては人並みの教育を受けられなかった。農協様様だった。農産物の販売はすべて農協頼み、売り上げは農協の口座に預け、生産用の資材だけでなく生活用品まで共同購入ができて、ほぼすべて口座引き落としで決済できた。残高マイナスでもとりあえず次年度の農業生産になんの支障もなかった。 1960年代、私の小学生時代には耕運機が入り、テレビ、ガス炊飯器、電気洗濯機、風呂の灯油ボイラー、そしてトラック導入へと進み、電気代、燃料代などと併せ現金支出がうなぎ上りに増えていった。世間は高度経済成長期に突入し、農家のくらしも勤労者世帯に追い付け追い越せと夢がふくらむ時代で、そ…