もう一つの声(3)を書こうと思ったのだけど、『令和元年のテロリズム』を一気読みしてしまったので、「自律/自立した個人」であることから疎外された苦しみ、ダークな側面について書いておきたい。「弱者」男性の身の奥底から響く雄叫びについて触れておかないといけないだろう。オルタナティブなライフスタイルとセットの現象なのだから。 この本は川崎殺傷事件(カリタスの小学生を狙った殺傷事件)の岩崎隆一、元農水相事務次官長男殺人事件の熊沢英一郎(被害者)、京アニ放火殺傷事件の青葉真司の三つの事件のルポだが、社会問題化されず個人問題に帰せられることに著者は憤りを感じている。社会から疎外された男たちの「テロリズム」と…