澄んだ秋の朝 眼下に広がる紺碧の相模灘は 微かな波紋を広げながら無限の光を吸い込んでいる 遠景は薄水色の靄に溶け合い 手前の風景との間に優美な空間の階調を作り出している まず青の濃淡で描かれた箱根の山々 そしてその遙か彼方 悠然たる富士の雄姿 裾野は朝靄に包まれ その山頂にだけ白銀の雪化粧が凛とした輝きを放っている この世の塵を払い去ったかのような清明で荘厳な青の世界である その荘厳な青余韻を胸に山を下る 心は透明な美しさに満たされていたが 冷たく澄んだ大気に晒された身体は 確かな熱と 大地に根差した滋味を求めていた 辿り着いたのは逗子の路地裏 福井の蕎麦文化をこの地に伝える名店 「御清水庵 …