感情は道徳問題を悪化させるという議論 心理学や脳科学の観点から道徳について論じる議論の中には、感情は道徳問題を悪化させるものであるという主張が割と見られる。 なぜ感情が道徳問題を悪化させるのか? それは、感情は非合理なものであり、理性的な議論を抑制してしまうと考えられているからだ。 心理学者のジョナサン・ハイトは、感情と理性の関係を「象と乗り手」の関係の比喩で表現している。ここで「乗り手」は「象使い」ではなく、ただの「乗り手」だ。だから、象をコントロールすることはできず、ただ象に乗っているだけだ。象は自動的に動き、乗り手は象の代弁者として、象がたった今したことの根拠を後から考え出す。この比喩で…