夏目漱石の作。初出:大正4年6月〜9月「朝日新聞」 「硝子戸の中」で自らの生い立ちを語った漱石は、そこには、もっと卑しいところ、悪いところ、面目を失うような自分の欠点は書かないでしまったと考えた。「道草」では、その書かないでしまった点を書いた。漱石の唯一の自伝小説である。 近代日本人の大きな病弊ともいえるエゴイズムの問題を、現実生活に密着させながら、これほど深く掘り下げた作品もめずらしい。実人生を再現したリアリズムの見事さという意味でも、傑作という名に値する。 参照「読書への招待」旺文社
芥川龍之介(明治25.3.1~小説家2.7.24 小説家)が本所両国から内藤新宿に引っ越したあと、遊びに来る友人のために描いた地図を見ると、道中の目印として電車通りに面して「大きな笠をかぶった大佛様」というのが記されています(明治44.4.25 山本喜誉司宛書簡)。 masapn2.hatenablog.jp (田端文士村記念館『作家・芥川龍之介のはじまり~書斎「我鬼窟」誕生までの物語』展パンフレットより。この書簡は現在開催中の本展初公開の資料でもあります。) それがこの仏像。 「大宗寺」という浄土宗のお寺にある「銅造地蔵菩薩坐像」です。 昭和27年の区画整理で大宗寺の敷地が縮小されたため、現…
夏目漱石夫妻 悪妻と呼ばれた夏目漱石夫人 漱石の妻と私の共通点はよく寝ること 1979年のさだまさしのヒット曲「関白宣言」 私が「もっと寝ていれば」と言われるわけ 悪妻と呼ばれた夏目漱石夫人 きのう見た映画「チャイコフスキーの妻」のキャッチフレーズは、「ロシアの天才作曲家を盲目的に愛した”世紀の悪妻”アントニーナ」らしい。 世の中のひとは「悪妻」を話題にするのが好きらしいね。 だって「悪夫」って聞いたことないもん。 さて同世紀の悪妻は日本で言えば夏目漱石夫人、夏目鏡子さんになるのだろうか? 近年になって漱石はDV夫だとか、モラハラ夫とか言われているので、その妻の鏡子さんは、大変苦労をされたので…
映画「パーフェクトデイズ」に影響される 古い文庫本の字は小さすぎる 私のKindle for PC 度を越さない程度に活用したいKindle For PC 映画「パーフェクトデイズ」に影響される 先日、映画「Perfect Days」(パーフェクトデイズ)について、感想記事みたいなものを書いたが、あんまりいいことは書かなかった気がする。 kuromitsu-kinakochan.hatenablog.com どうしてだろう? 読書三昧で「小確幸」(小さいけれども確かな幸せ」を満喫している主人公、平山は私のほぼほぼ理想とする生き方なのに? そう言えばこの頃、本を読んでいないなぁ。 それもこれも老…
寄り道しつつ長崎へ これから長崎へ行きますが、どのルートを通って行こうかな? 武雄図書館には、今回は寄らずにすむので、久し振りに伊万里経由、西彼杵郡の時津町、長与町を通って帰るのが第一候補。 道の駅やリサイクルショップなどあちこち寄り道しながらのんびり帰ります。 道草 寄り道 子どもたちには 無縁の言葉になり果てた 好奇心の芽は どこで育む 私たちの世代だって、子どもの頃は「寄り道しないで帰ってきなさい」と言われてはいたけれど、寄り道してたからこその禁止令だったわけで、昨今の子どもたちはそもそもそんな単語を知っているかしら? 道草や寄り道なんてしているヒマないんじゃないかしらね? スマホという…
ロジック(論理)も必要ですが、機を見てロジックを脱する思考と行動がとても大切だと私は思っています- 岩田聡 - 初めから行き当たりばったりだと経験から学んで軌道修正することが出来ず、目的達成という事を考えるなら不利です。というか無謀です。 私は基本的に目的をぼやかす主義で、それはまさしく、最短距離を行く代わりに道草の最中に出会うものに期待しているからで、うまく行けばそれが道草でなくなるし、そううまく行かなくたって面白いからです。 ただ”ぼやかす”というのがミソでそれすらないのとは雲泥の差があったりして、なおかつ面白い目に遭えるのだからお得だと思いませんか? もちろん、全部が全部それで行くほど度…
寝しなに夏目漱石の「道草」を読んだ。すぐ眠くなるので、一日数ページである。読み終わるのにひと月くらいかかった。面白かった。 『道草』は、漱石がイギリス留学から帰った時期の出来事が題材となっている。三十代後半くらいの時期である。 漱石の生い立ちは複雑である。 生まれて間もない頃に、養子に出された。そして、養父母からは溺愛される。しかしそれは、養父母の都合によるものだった。そのうちに、養父に愛人ができて、養父母は離婚し、9歳頃に漱石は実家に戻される。しかし、養父母の対立で、夏目家に復籍したのは大人になってからだった。その後も、漱石は養父からは長年、金の無心をされていた。 『道草』の主人公健三は、留…
離れればいくら親しくっても
「一遍起った事は何時までも続くのさ。ただ色々な形に変るから、他にも自分にも解らなくなるだけの事さ」 漱石「道草」の一節。筆者は小説は読んでないが、印象的なこの一節だけは知っている。 主人公が、面倒な身内に手切れ金を払って縁が切れたと喜ぶ妻をたしなめたシーンでの、味わい深いセリフだ。 ずっと昔、古書で見つけた河合隼雄「家族関係を考える」で紹介されていたのである。 昨日、偶然的なことだったが、「世の人は、意外と親戚・家族付き合いの基本的な事柄で悩んでいるのだな」と認識する機会があった。 まあもしかしたら、筆者自身も実際はそのように認識されているのに、「知らぬは己ばかり」という事態だったら非常に苦し…
こんにちは!ご来訪くださいまして誠にありがとうございます! 暖かな日差しの後には強風と雨、不安定な気候が続きますね。 長野はまた雪・・じゃないといいな。(移動の頃には雪解けしていて欲しい・・) 「朝のおひさま、あったか〜い」 「ここなんかはもうモシャモシャに草が生えてるけど、」 「小羽が食べたいのは、こういうチミチミしたクサなの」 ちょっと小羽さん、そういうとこでよくトイレするじゃない。 その草、他のワンコさんのトイレ小がかかってるんじゃない? 「エッ、そうなの?」 山里に移動したらフレッシュで美味しい草が食べられますよー。ちょっと待っててね。 「ン、わかった。それにしても最近なかよしさんに会…
遅ればせながら、春の訪れを感じるようになった今日この頃、花粉症に苦しみながらも春の草花を一目見ようと外をふらふらしている。 郊外に住んでいるので、身近な植物と言えば人の家や公園などの庭木や植え込みだと思っていたが、この本を読んだ後は周りにはもっと草があることに気づいた。 道草ワンダーランド: まちなか植物はこうして生きている 作者:多田 多恵子 NHK出版 Amazon 植物の本といえば、図鑑みたいなもので、○○科とか△△属とかカタカナが多くて花の咲いた写真が載っているイメージだったが、この本はまるで小学校の理科の教科書みたいなつくりをしている。 四季の草花で紹介されているのだが、蜜や雄しべ雌…