山好きでかつ警察小説を愛読する人にはのめり込める作品。 特に後立山連峰の鹿島槍ヶ岳、五竜岳辺りを登山した経験がある人には、冬山登山のスリリングな感触をヴァーチャルに味わいながら事件の成り行きに引きこまれることだろう。 奥書を読むと、本書は「STORY BOX」の2015年4月号~2017年5月号に連載され、加筆修正して、改題し、2020年1月に単行本が刊行された。 冒頭は、桑崎裕二が浜村隆をパートナーにして、天狗ノ鼻に到着し、テントは持参しているが、そこに雪洞を作って一泊し翌早朝に鹿島槍ヶ岳の北壁に挑むという山行の場面描写から始まる。雪洞作りは浜村への指導でもある。 桑崎は大学時代山岳部に所属…