あの日、ぼくは初めて野球の試合を観に行った。 テレビで見るよりも迫力満点のプレーに、 すっかり魅了されてしまった。 中でも、一番印象に残っているのが、 松本選手のホームランだ。 松本選手は、かつてはチームの主力打者として 活躍していた選手だった。 しかし、ここ最近は 思うように結果が出ていない様子だった。 度重なるケガ、プレッシャーが彼を襲っていた。 そんな彼に、周囲はこう言った。 「もうダメなんじゃないか?」 「松本の時代は終わった。」 「なんでまた出すんだ。」 その日の試合も、松本選手は不調だった。 守備ではエラーをし、打撃でも三振を繰り返し チームの足を引っ張っていた。 スコアは3-4。…