1928年浜松市生まれ。物理学者、サイエンス・ライター。 海軍兵学校、旧制一高から東京文理科大学物理学科へとすすみ、同大学院では統計力学を専攻。物理学の全分野にわたって幅広い知識をもつ。横浜市立大学で教鞭をとり、同大学名誉教授。静岡県の育ちだけあって、清水の次郎長一家についてはほとんどそらんじているという。 また、講談社ブルーバックスから、SF的な科学啓蒙書を一七冊(うち共著一冊)刊行。累計三〇〇万部を超えた。 2002年7月死去。
価値観(世間を見る目)が変わった一冊といえばこれである。「マックスウェルの悪魔」。50年前に発行された、物理学の素人向け読み物である。 物理学の根底を支える理論の一つは、確率というあやふやなものだと。であればなんだ、というと、火にかけたヤカンの水が凍りつく、猿がデタラメにワープロのキーボードをたたくとシェイクスピアの作品が出来上がる、そんな現象も確率はゼロではないと。ただ、その確率がとんでもなく低いために、一般的には「あり得ない」と言い切って良いわけである。しかし確率はゼロではない。