文月の訪れにかこつける訳ではありませんが、今回は山中温泉関連の現代文学 Hannah Kirshner さんの "Water, Wood, and Wild Things" を紹介することにしました。(※多少のネタバレ注意) 来日以来、和酒バーのマスター、茶の湯の先生、菊の湯と山中節教室の芸妓、酒蔵での仕込み風景・・と、人のつながりが川の「水」のように物語は流れていきます。酒造りが一段落した後、木地師、坂網猟、我谷盆、紙漉き、限界集落を護る人々・・筆者は失われつつある手工業や文化に向き合う人々の様子を、鋭い観察力と自身の体験を交え丁寧に綴っています。 本書は加賀・山中に関するエピソードが単に並…