「ヤブ医者」というのは、腕の悪い医者の意味ではない。朝廷に仕える正規の医師と違って、「野」にいて、それでいて「巫」、つまり巫女(みこ:ふじょ)のようなシャーマニックな治療を行う人たちのことを言ったのだ。祈禱師や陰陽師のような人たちだ。『源氏物語』に出てくるような、怪しい治療者たち、それが野巫医者だ。「ヤブー、ヤブ医者、野巫医者・・・・・・」私はもう一度、呟いた。 そのときだ。突然、ロクでもないアイディアが降ってきた。魔が差す時間帯だったのだ。「野の医者!」(東畑開人『野の医者は笑う』文春文庫、2023) おはようございます。月~金の疲れが抜けず、土曜日の午前中はいつも「何もしないをする」をして…