せめて空を 釘宮理恵 アニメ 個人的な思い出の結びつきを除いたゼロ年代美少女ゲーム音楽の感傷とは当時のPCM音源の虚構性だと思う。偽物のピアノの音。薄いブラスの音。嘘みたいに透き通ったパッドの音。その適度な虚構の性質、つまり「遠さ」が、日常的な神話の物語あるいは日常に成り済ました非日常の物語、そして泡沫の流行の過去じたいまでの距離に重なる。夢や過去を思い出す装置になる音楽。たとえばASMR以降の音響感覚で作られる立体的な音楽の、侵犯めいた高揚がインスタレーション的なものだとしたら、古い音源と安定した編集によって生まれる平面性は絵画的なものだ。作品と私に確かな隔たりがある。物語に触れるか、巻き込…