『幻想と怪奇』14【ロンドン怪奇小説傑作選】「ロンドン怪奇小説地図」「アッシュ氏の画室」H・R・ウェイクフィールド/渦巻栗訳(Mr. Ash's Studio,H. R. Wakefield,1932)★★★☆☆ ――道路工事が終わるまで、別の仕事場を借りなければ長篇小説を完成させられないと、ホロックス氏は悟った。不動産屋に紹介されたアッシュ氏のアトリエ。木箱に美しい色の蛾の群れが貼りついていたが、いますぐ作業場所がほしかった。画架に近づいてみると、若い女の肖像画だった。ひと月借りることにして、重大な一章を書きあげたあと、ふと画架の絵を見つめていた。やはり謎めいた顔だ。となりの部屋の蛾をよく見…